薬価1億6700万円のゾルゲンスマの自己負担額は微々たるもの!
「難病治療薬ゾルゲンスマ」について今回の注目ポイント
「過去最高1億6700万円の薬が保険適用に」というニュースについての感想
注目ポイントに対する感想
感情論としては納得できるものの、なぜ巨額の薬を微々たる自己負担で使用できるようにしたのか、厚労省のバランス感覚に対して疑問が残ります。
難病治療薬ゾルゲンスマという薬は、脊髄性筋萎縮症という病気を発症した子供に投与する治療薬です。
脊髄性筋萎縮症は、全身の筋力が低下する難病です。
本来なら、難病に対する治療薬が承認され保険適用となれば、手放しで喜ばしいことなのですが価格面に問題があります。
この治療薬は、1回当たり1億6700万円もかかるのです。
そして、患者負担はさまざまな助成があるためほとんどかからないということです。
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筆者は、難病患者に対するセーフティネットは必須のものだと思います。
難病の多くは遺伝子的な問題など、自分の過失で発症したわけではないので、そこは国が下支えするのが当然と言って良いでしょう。
しかし、自己負担ほとんどなしに億単位の薬を使えるというのは、はたして健全なことなのかが疑問です。
ただでさえ、国家予算に占める医療福祉分野の支出が増加の一途をたどっており、難病全般に対する国の金銭的サポートも手薄になってきているような時代です。
そんな中で、今回の薬については手厚くというのはどう考えてもバランス感覚がおかしいと言わざるを得ません。
更に言うなら、ニュースでは価格だけが注目され詳しい内容が書かれていないので、「一回の投与で確実に病気を治せるのだろうか」という疑問もあります。
投与しても効かなかったり何度も投薬しなければならないとなると、無駄になったりとてつもない額が消費されることになります。
当該薬の運用について明らかになっているのは、年間25人程度の2歳未満の患者に対して投薬を実施するということです。
1回だけの投与だとしても、それだけで年間約42億の費用がかかる計算になります。
感情論で考えるなら、「小さい子の命がかかっている」となると批判することは難しいです。
しかし、対象が幼いから優遇というのでは、命に対する差別になります。
そして、年間42億の予算があるなら、より多くの命が救えるはずです。
そのあたりのバランス感覚がどうなっているのかが疑問です。